中国のスタートアップで注目すべき3つの視点

にーはお!

日本と中国の社会構造の差異から、中国のスタートアップで注目すべき部分とは何かについて考えていて、それを書きたいと思います。「中国のスタートアップでどのようなところに注目すべきですか?」との質問もよく受けるので、そちらにもうまく答えられたらと思います。

 

 

西湖夜景

 

特定の領域に特化したアプリ(リクルート中国)

 

日本人は意思決定のための情報をどう入手するか?

コンビニでも本が買えて、いたるところに本屋さんがあり、駅ではフリーペーパーを手にすることができます。

またPCでは個人がやっているアフィリエイトサイトが数多くあり、それなりの情報は手に入ります。

 

一方、中国は紙で情報を取得する習慣が少ないです。フリーペーパーは駅に置いてありません。コンビニには書籍がありません(あってもとても少ない)。上海で本を買いたいと思えば、南京東路にある上海本城まで行かないと欲しい本は見つかりません。

PCを持っている人は少ないです。スマホから情報を取得することがほとんどです。

 

この差異がアプリに出てくるのではないか。例えば「新氧」(参考記事:1億元(20兆円)の美容整形市場を狙う元Tencentディレクターの戦略的起業 #中国医療系スタートアップ)。

整形後の写真を共有するアプリなのです。日本であれば雑誌などを使って情報収集するかと思うのですが、中国だとそれに代わるものがない。起業家がそこを狙う。

非日常的な意思決定をSNSなどの要素を組み合わせ、アプリにまで落とし込んでいる。

他に非日常的な意思決定の代表例として、結婚があります。日本なら適当に書店に入ってゼクシィを買えばいいです。結婚をしたいときは暗にゼクシィを出せばいいとかもよく聞く話。

中国ではそんな光景がないような気します。なのでそれに代替するアプリがあるはず。そしてそれは日本でも展開できる、流行る要素を持っているはずです。

リクルートが日本でやってきことが中国ではない。それをスタートアップがアプリとして提供している。

日本はリクルートがやってきたこと(紙、PC)が、アプリに移っている。このギャップでビジネスのヒントが転がっている気がします。

あらゆる情報の意思決定において、日本人が使っている媒体の中でアプリに置き換わっていないものがあれば、中国ではどうなっているかを見るのはとてもいいかなと思います。

 

 

オンデマンド(O2O)

 

日本ではUberがそこまで普及していなかったりとそこまで期待されている分野ではない気もします。

一方、中国ではトラックの運転手を一情報に基づいて即座に探すことのできる「运满满」や配送のクラウド・ソーシング「达达」などが急速に伸びています。時価総額は数百億円です。

特に、フード・デリバリーの「饿了么(Eleme)」は1000億円を超える資金調達を行っています。

 

一方、(これは中国に住めば分かるのですが)、やはり中国での生活は日本に比べると不便です。大手のチェーンもそこまでなく一定の味を担保されたご飯屋さんを探すのは案外苦労したり。それなら饿了么(Eleme)を使おうかなとなります。

また、コンビニが近くにないため(特に北京は道路が広くコンビニが少ない)、またあっととしても中華系のコンビニは弁当がまずい。それならケンタッキーをデリバリーで頼もうかなとなるわけです。

 

この辺りは日本と大きく社会構造が違うので、そのまま輸入できるわけではありませんが、日本も中国のように近づいてくと思います。その中で学べることは多いでしょう。

 

 

FintechとSNS

 

最後は、社会構造の差異から学べるというより、ただ中国が先進的である分野です。

微信(Weixin)を見れば、中国のSNSの進化っぷりが分かります。また多くの起業家が微信(Weixin)を超えるプロダクトを作ろうとしているので、アイデアベースで多くのアプリが生まれているでしょう。仮に流行しなくてもヒントは転がっていそう。

中国がFInTech先進国であることは最近よく聞く話です。(参考:「中国のFinTech業界を領域ごとにプレーヤーを整理しようと思ったけど挫折したので、P2Pだけ上位5社を軽く調べた。」)

こちらは、法律と深く関わってくる分野なので一概にビジネスモデルをそのまま移植することはできませんが、文言やUIなど細かいところで参考にできる部分はあると思います。

 

中国のスタートアップでどのようなところに注目すべきですか?との質問をよく受けるので、現時点での自分の考えを書いてみました。しかしなぜそもそも「中国のスタートアップに注目するのか?」という話はまた別の機会に。

 

中国に留学する、中国人と働くなら絶対に読んでおきたい中国書籍20選+α

にーはお!筆者が中国に初めて触れたのは小学5年生の時に友達のプレステでした「三国無双3 猛将伝」です。一番やりこんだのは「真・三國無双4」です。懐かしい。

 

真・三國無双4_オフィシャルサイト

画像引用:真・三國無双4 オフィシャルサイト

中学で三国志(歴史)にはまり、大学では縁あって、中国関係の学部に入学しました。それ以来政治や経済に関する本も読むようになり、中国に関連する本もかれこれ100〜150冊ぐらい読みました。

そんな中から、絶対に読んだ方が良い中国本をジャンル毎に合計20冊あげました。

選んだのは、中国研究者が書くものしか取り上げておらず、かなり読み応えがあります。でもいきなり研究者が書く本はちょっとという方にお勧めしたいのが、橘玲氏による中国論です。

橘玲氏は資産運用において、国家と個人のリスクを切り離すことを提言してきた作家で、数多くの資産関連本を世に送り出してきました。また近年は進化論の視点からも数多くの本を書いています。

そんな橘玲氏が書く中国本とは?はじめにとあとがきから氏がこの本に込めた思いを引用します。

日中の関係が難しい時期を迎えた今こそ、一人ひとりが中国について驚き、考えてみることが大切ではないだろうか。(はじめにより)

 

国家の歴史認識と個人の人間関係を切り離せばいい。国家同士のくだらないを離れてつきあえる友ができたなら、これほど素晴らしいことはないだろう。(あとがきより)

 

研究者から見たら粗い議論もあるかもしれませんが、参考文献は本稿でもあげているものもあり、極めてまっとうな中国論に仕上がっています。下にあげる本は少しハードルが高いという方は、まず橘玲の中国私論—世界投資見聞録をお勧めします。

橘玲の中国私論—世界投資見聞録で深掘りしたいところができた方は、ぜひ以下の書籍を手に取ってみてください。

あなたの中国に対する認識を深め、もしくは変えてくれるでしょう。

 

現代中国

 

日本と中国、「脱近代」の誘惑 ――アジア的なものを再考する

2015年6月に出版された本。昨今の日本政治の流れを汲んだ内容で、日中関係が思わしくない理由に整合的な理由を与え、それをどう解決べきかの道しるべを示してくれます。学生団体などで直にアジア圏の若い学生と関わる人には、理論的一冊としてぜひ読んで欲しい一冊。

「壁と卵」の現代中国論: リスク社会化する超大国とどう向き合うか

同じく梶谷壊氏による現代中国論。中国が抱える地方債務や人権、農民工など様々な問題を経済理論や歴史などから分析しています。他の本よりは身近に感じる話題が多いので、飽きずに読み通すことができます。

 

歴史

 

新・図説 中国近現代史―日中新時代の見取図

1840年のアヘン戦争から現代までを振り返った一冊です。見開きで文章と図表で説明されていて、辞書として持っておきたい一冊です。

中華人民共和国史 新版 (岩波新書)

中華人民共和国成立後から1999年までの歴史を通史で振り返っています。

中国史 上 (岩波全書 295)

世界的に有名な中国歴史研究家の宮崎市定氏による、中国史5000年の概説書。

蒼穹の昴 全4冊合本版 (講談社文庫)

これを書くために作家になったと言われる浅田次郎氏による中国清末の物語。中国がどのように近代を迎えようとするのか、さらにその葛藤を登場人物に感情移入して読み進めることができます。また小説であるため、1人1人にスポットライトが当たります。歴史を動かすのは1人の1人の人間。中国もたくさんの人間が積み重なってできた国であると改めて認識できます。泣かずには読めない名作中の名作。

 

政治

 

現代中国政治[第3版] -グローバル・パワーの肖像-

中国の政治がどのような仕組みで動いているかを解説した一冊。著者は中国政治研究第一人者の毛利和子氏。

現代中国の政治-「開発独裁」とそのゆくえ (岩波新書)

現在の中国政治を開発独裁と捉え、中国の民主化の可能性を説いています。

 

外交

 

膨張する中国の対外関係―パクス・シニカと周辺国

中国関連では日本最大の学生団体「日中学生連盟」の顧問も務められている天児氏らによる中国外交研究本。中国内部の視点だけでなく、アメリカや東南アジア諸国などとはどういう関係にあるのかを丁寧に解説した一冊。

 

経済

 

現代中国経済論 (シリーズ・現代の世界経済)

日本の研究者たちによる現代中国を経済の視点から解説した教科書。

中国台頭の終焉 (日経プレミアシリーズ)

いわゆる中国悲観論。しかし言葉だけで煽る嫌中本とは違い、様々なデータを用いて中国経済を分析しています。梶谷氏とはブログ上で互いの本への批判を行っており、それもまた魅力です。

チャイニーズ・ドリーム: 大衆資本主義が世界を変える (ちくま新書)

なぜ中国は「パクリ」大国なのにこれほど急速な経済成長を遂げることができたのか?携帯電話産業などを例に、中国流のイノベーションを解説しています。小米(Xiaomi)の成功理由はこの本から読み解くことができます。

 

社会

 

近代中国史 (ちくま新書)

中国とは何かという疑問に、貨幣システム・財政制度・市場秩序などの視点から説明を試みるのが本書です。経済や政治の視点以外からの中国の特有さを知ってみたい!という方にはオススメ。

中国の市民社会――動き出す草の根NGO (岩波新書)

このタイトルをみて、おかしいと思った方は多いのではないでしょうか?「共産党一党独裁の国にNGOなんてあるのか?」中国でどのようにNGOが発展してきたのか、今後展望するのを考察しているのはもちろんのこと、一党独裁にも関わらずNGOが活躍する中国社会の多様性を再認識できます。

中国問題: キ−ワードで読み解く

題名を見ると、嫌中本と疑ってしまいますが、第一線で活躍する中国研究者による、最新の中国研究を集めた重厚な一冊です。中国はどこに向かうのだろうと思う方は多いでしょう。それに対する簡単な答えは用意されていませんが、それを考えるヒントを11の分野から教えてくれます。

 

コミュニケーション

 

中国人の心理と行動 (NHKブックス)

中国人に友達がいる方なら、「なんでこんな行動をするのだろう?」と一度は思ったことがあるでしょう。その謎を、「面子」「関係」「人情」の3つの視点から解き明かす中国人論。「なんでこんな行動をするのだ!」と怒る前にこの本を手に取ることを勧めてみます。中国人の友達と一緒に読んだのですが、「この本すごいね。」と言っていました。

 

文化

 

中国という世界―人・風土・近代 (岩波新書)

中国研究の大家、竹内実氏による中国入門書。大学入学後はじめに読んだ中国本。大学の先生がまずはじめに生徒に読んで欲しいと渡した本。

 

日中関係

 

日中国交正常化 – 田中角栄、大平正芳、官僚たちの挑戦 (中公新書)

日本と中国は何を揉めているのか?国交を回復するときにきちんと決めたのではないのか?当時の政治家、官僚はどのようにして中国と国交を回復したのでしょうか?日中関係を論じるなら、まずはどうやって戦後日本と中国が握手したのかを考えませんか?

日中関係―戦後から新時代へ (岩波新書 新赤版 (1021))

中国政治研究大家である毛利和子氏による、一般向けの日中関係論。戦後から2005年までの日中関係を通史的にまとめられており、基本的な事項を抑えるとともに、両者の関係をどう捉えるかを理解するには最適な書。

 

台湾

 

台湾―変容し躊躇するアイデンティティ (ちくま新書)

中国を語るうえに外せない台湾。どうやって中華民国、そして台湾が生まれたのかを考えることで、昨今盛り上がる台湾総選挙の「面白さ」が見えてくるのではないでしょうか。

 

 

みなさんのオススメの中国本はありますでしょうか?ぜひオススメ本とともにNewsPicksでもコメントしてくださいm(_ _)m

 

中国のインターネットこそ、「アーキテクチャ」の視点で捉え直そう。僕が2016年に解き明かしたいこと。

にーはお!

LINEが中国のチャットアプリの微信(Weixin)を追っかけていると言われるほど、中国のアプリやWebサービスは発達しています。また、SNSでの情報の拡散の仕方や、グループチャットでのコミュニケーションの取り方は、日本とは大きく違います。

しかし

  • 「パクリ国」であるはずの中国が日本のインターネットを追い越してしまったこと(特にモバイルで)
  • 中国独自のインターネット上でのコミュニケーションの特異さ

についてはまだ整合的な分析はされていません。そのことにもやもやしています。2016年はこのモヤモヤを解消したい。

さて、そんな年始からモヤモヤしている筆者ですが、中国のインターネットに新たな視点をもたらしてくれる本と出会いました。

この本はニコ動やmixiなどの日本「独自」のウェブサービスをアーキテクチャの視点から解説したもので、中国のインターネットの発達や独自のコミュニケーションについて考察する切り口を提供してくれる刺激的な一冊でした。

中国のインターネットをどういう視点で読み解くべきか一緒に考えてみませんか?

 

まず、アーキテクチャとは

 

飲酒運転をやめさせるには、罰則を厳しくする(法律)、飲酒運転はダメだと教育する(規範)などが方法としてあります。アーキテクチャの視点から考えると、飲酒した人が乗る車のエンジンをかけれなくするという方法が取られます。つまり物理的に飲酒運転できない環境を作ってしまうのです。

これがアーキテクチャの考え方です。

 

日本社会は特殊か?

 

濱野氏は、「どのようなアーキテクチャがその社会において普及し受容されるかは社会ごとに異なる(=社会決定論)」という視点で、ニコ動やmixiを本書で分析します。

しかし、本書で社会決定論を用いる際に想定されている日本社会が「繋がりの社会性」であり、著者も2015年文庫改訂版のあとがきで書かれているように、「繋がりの社会性」を日本特有のものとしてみなすことは難しいでしょう。

「繋がりの社会性」とは「誤解を回避する努力を犠牲にしてでも円滑に(つまり場の空気を破壊しないように)行為が接続していくことそのものを重視する作法(接続志向)」であり、簡単に言えば、空気を読むことを重視するコミュニケーションです。

濱野氏の本文中の言葉を引用するなら、

日本特殊の現象に見えた「繋がりの社会性」が、世界的に拡散しつつあるようにも見えてきます。本書ではこの点を十分に検討することはできませんでしたが、こうした国境や文化を越えて「繋がりの社会性」が台頭してくる昨今のウェブ上のシーンを、また別の進化史の視点で捉えなおしていく作業が今後は必要とされることでしょう。

となります。濱野氏が改訂版でこのように表現せざるを得なくなったのは、日本社会では流行らないと言われたFacebookやTwitterが日本でも広く受け入れられたからです。

今まで、日本の社会を説明するときに「日本特殊論」が受け入れられてきました。

しかし、「日本特殊論」は今の現状を説明するに耐えうる十分な理論ではないように思えます。

 

視点を日本から中国中心に変えてみる

 

そこで視点の中心を日本から中国に変えます。

中国から日本を見ると西欧と日本は中国から同じ距離にあると指摘する見方が生まれてきます。

研究者の感心が「なぜ日本は成功(近代化)したのか?」のではなく、「なぜ中国は明清時代に巨大経済圏を築いたにも関わらず停滞したのか?」にシフトしていることからも、むしろ時代に即した観察のあり方です。

これをインターネットの話に持ち込めば、「なぜニコ動は日本でしか流行らなかったのか?」としか今までは考えられませんでしたが、「なぜニコ動は中国で生まれなかったのか?」と考えることができます。

いまやニコ動中国版と言えるサービスはいくつか存在し中国でも大人気です。日本だけに存在するサービスではありません。

「なぜ(中国で生まれても良かったはずの)ニコ動が中国ではなく日本で生まれたのか?なぜ中国は生み出せなかったのか?」と仮説を立てるほうが「良い」答えに近づくのではと思います。

日本は中国から輸入したもの(漢字や都市設計)を元に成り立っており、中国を起点にして考えるほうが整合性がつくのではないでしょうか。

 

アーキテクチャの視点から見た中国のインターネット

 

視点を日本から中国中心にシフトした上で、アーキテクチャの角度から考えます。ヒントとなるのは、

  • 中国人でのリアルでのコミュニケーションがインターネットでどう反映されているか?
  • 漢字という文字がコミュニケーションに与える影響は?
  • 日本独自と言われ世界で唯一無二の存在であると「思われる」漫画とは?なぜ中国では世界的な作品が生まれていないのか?

などでしょう。中国の社会を分析していくことで、中国のインターネットの姿も見えてくるはずです。

この視点があれば、中国はそもそもの「社会」が日本よりもインターネットに適していて、現在インターネットが日本より発達していると説明できるのではないでしょうか。

ただ、人口が多いや資金調達の環境が良いと言った理由以外に、中国のインターネットの特徴や特異さについて整合的な説明できるはずです。

 

まとめ

 

以下の問題意識

  • 「パクリ国」であるはずの中国が日本のインターネットを追い越してしまったこと(特にモバイルで)
  • 中国独自のインターネット上でのコミュニケーションの特異さ

を解き明かすために、

  • 中国を中心に捉える
  • アーキテクチャという視点、つまり社会がどうインターネットに影響を与えているか

という2点を軸に、問題意識に整合的な説明を与えたいと思います。2016年の筆者の目標です。

 

考えていることの定期的なアウトプットや、基礎的な中国のインターネットについてのトレンドは、noteで書いていきます。寄付金ぐらいの感じでご購入いただければ嬉しいです。詳しくはこちらをご覧下さい。

宣伝みたいになってしまったというのが本稿のオチですw