中国のインターネットこそ、「アーキテクチャ」の視点で捉え直そう。僕が2016年に解き明かしたいこと。

にーはお!

LINEが中国のチャットアプリの微信(Weixin)を追っかけていると言われるほど、中国のアプリやWebサービスは発達しています。また、SNSでの情報の拡散の仕方や、グループチャットでのコミュニケーションの取り方は、日本とは大きく違います。

しかし

  • 「パクリ国」であるはずの中国が日本のインターネットを追い越してしまったこと(特にモバイルで)
  • 中国独自のインターネット上でのコミュニケーションの特異さ

についてはまだ整合的な分析はされていません。そのことにもやもやしています。2016年はこのモヤモヤを解消したい。

さて、そんな年始からモヤモヤしている筆者ですが、中国のインターネットに新たな視点をもたらしてくれる本と出会いました。

この本はニコ動やmixiなどの日本「独自」のウェブサービスをアーキテクチャの視点から解説したもので、中国のインターネットの発達や独自のコミュニケーションについて考察する切り口を提供してくれる刺激的な一冊でした。

中国のインターネットをどういう視点で読み解くべきか一緒に考えてみませんか?

 

まず、アーキテクチャとは

 

飲酒運転をやめさせるには、罰則を厳しくする(法律)、飲酒運転はダメだと教育する(規範)などが方法としてあります。アーキテクチャの視点から考えると、飲酒した人が乗る車のエンジンをかけれなくするという方法が取られます。つまり物理的に飲酒運転できない環境を作ってしまうのです。

これがアーキテクチャの考え方です。

 

日本社会は特殊か?

 

濱野氏は、「どのようなアーキテクチャがその社会において普及し受容されるかは社会ごとに異なる(=社会決定論)」という視点で、ニコ動やmixiを本書で分析します。

しかし、本書で社会決定論を用いる際に想定されている日本社会が「繋がりの社会性」であり、著者も2015年文庫改訂版のあとがきで書かれているように、「繋がりの社会性」を日本特有のものとしてみなすことは難しいでしょう。

「繋がりの社会性」とは「誤解を回避する努力を犠牲にしてでも円滑に(つまり場の空気を破壊しないように)行為が接続していくことそのものを重視する作法(接続志向)」であり、簡単に言えば、空気を読むことを重視するコミュニケーションです。

濱野氏の本文中の言葉を引用するなら、

日本特殊の現象に見えた「繋がりの社会性」が、世界的に拡散しつつあるようにも見えてきます。本書ではこの点を十分に検討することはできませんでしたが、こうした国境や文化を越えて「繋がりの社会性」が台頭してくる昨今のウェブ上のシーンを、また別の進化史の視点で捉えなおしていく作業が今後は必要とされることでしょう。

となります。濱野氏が改訂版でこのように表現せざるを得なくなったのは、日本社会では流行らないと言われたFacebookやTwitterが日本でも広く受け入れられたからです。

今まで、日本の社会を説明するときに「日本特殊論」が受け入れられてきました。

しかし、「日本特殊論」は今の現状を説明するに耐えうる十分な理論ではないように思えます。

 

視点を日本から中国中心に変えてみる

 

そこで視点の中心を日本から中国に変えます。

中国から日本を見ると西欧と日本は中国から同じ距離にあると指摘する見方が生まれてきます。

研究者の感心が「なぜ日本は成功(近代化)したのか?」のではなく、「なぜ中国は明清時代に巨大経済圏を築いたにも関わらず停滞したのか?」にシフトしていることからも、むしろ時代に即した観察のあり方です。

これをインターネットの話に持ち込めば、「なぜニコ動は日本でしか流行らなかったのか?」としか今までは考えられませんでしたが、「なぜニコ動は中国で生まれなかったのか?」と考えることができます。

いまやニコ動中国版と言えるサービスはいくつか存在し中国でも大人気です。日本だけに存在するサービスではありません。

「なぜ(中国で生まれても良かったはずの)ニコ動が中国ではなく日本で生まれたのか?なぜ中国は生み出せなかったのか?」と仮説を立てるほうが「良い」答えに近づくのではと思います。

日本は中国から輸入したもの(漢字や都市設計)を元に成り立っており、中国を起点にして考えるほうが整合性がつくのではないでしょうか。

 

アーキテクチャの視点から見た中国のインターネット

 

視点を日本から中国中心にシフトした上で、アーキテクチャの角度から考えます。ヒントとなるのは、

  • 中国人でのリアルでのコミュニケーションがインターネットでどう反映されているか?
  • 漢字という文字がコミュニケーションに与える影響は?
  • 日本独自と言われ世界で唯一無二の存在であると「思われる」漫画とは?なぜ中国では世界的な作品が生まれていないのか?

などでしょう。中国の社会を分析していくことで、中国のインターネットの姿も見えてくるはずです。

この視点があれば、中国はそもそもの「社会」が日本よりもインターネットに適していて、現在インターネットが日本より発達していると説明できるのではないでしょうか。

ただ、人口が多いや資金調達の環境が良いと言った理由以外に、中国のインターネットの特徴や特異さについて整合的な説明できるはずです。

 

まとめ

 

以下の問題意識

  • 「パクリ国」であるはずの中国が日本のインターネットを追い越してしまったこと(特にモバイルで)
  • 中国独自のインターネット上でのコミュニケーションの特異さ

を解き明かすために、

  • 中国を中心に捉える
  • アーキテクチャという視点、つまり社会がどうインターネットに影響を与えているか

という2点を軸に、問題意識に整合的な説明を与えたいと思います。2016年の筆者の目標です。

 

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宣伝みたいになってしまったというのが本稿のオチですw


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家田昇悟(IedaShogo)

家田昇悟(IedaShogo)

在学中に中国の日本酒コンサルティング会社で、営業・ECサイト立ち上げのリサーチを経験。帰国後、中国のスタートアップに特化した情報サイト「ChinaStartupNews」を立ち上げ、中国関連のリサーチやコンサルティングに従事する。中国×スタートアップに興味を持つ人が集うFBグループ(https://www.facebook.com/groups/chinastartup/)を運営し、現在参加者は800名を超える。アプリ開発企業にて勤務。