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2016年、中国の投資家が予想するスタートアップ・トレンド

にーはお!TechCrunchの「日本のVCが予想する2016年のスタートアップ・トレンド(前編)」がバズっています。誰かに頼まれたわけではありませんが、中国版もお届けします。

2016年、投資家が注目する領域にあなたはいるか?」を元にまとめられた「2016年、投資家が最も注目する5大領域」を参考に、筆者の解釈も入れて、2016年中国スタートアップのトレンドをまとめてみたいと思います。

 

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2015年、中国をざっくり振り返る

 

2016年を語る前に、2015年の中国をざっくり振り返ってみます。キーワードにリンクを貼り付けていますので、詳しい内容はそちらを参考にしてください。

3月に、政府が「インターネット+」という政策を発表し、インターネットへの期待感が一気に高まります。しかし広告合戦による消耗やチャイナ・ショックで資金調達が難しくなり、合併するインターネット企業が多発。しかも業界1・2位レベルでの合併が相次ぎました。詳しくは、寄稿したこちらの記事をご覧ください。「中国IT業界ニュースランキング2015年度TOP10

中国の経済成長が7%を割り込みましたが、依然として日本など先進国から見れば、その成長はまだまだ期待できます。もちろん悲観論もありますが・・・

最も注目されたのは、長年続いた一人っ子政策の廃止でしょう。国内消費の切り札となるか?

「インターネット+」と一人っ子政策の廃止という政府からの大きな動きがあったものの、実体経済にどれほど影響があるのだろう?政府と統計も本当かどうか分からないけど、期待するしかないか?というのが投資家の声でしょうか。

2016年 中国スタートアップのトレンド

 

21人の投資家からのアンケートを基に注目の5つの領域を選定されています。

企業サービスと母子

IDGが注目する領域にも企業サービス(B2B)は入っています。中国で登記されている中小企業数は1000万社を超え、登記されている企業全体の9割を占めているため、彼らをターゲットにしたビジネスチャンスは大きいです。

母子関係は、一人っ子政策が廃止されたことで、大きな注目を集めています。母親はお金があるだけこのためにお金を投入しそうで、消費と相性が良さそう。

投資家:明势资本黄明明、源码资本吕月梅、戈壁创投王国栋、伙伴创投华茜等。

医療

医療は多くの領域に細分化されるため、その分投資も豊富にされるだろうと書かれています。診察にいけない人がいるなど、医療は最も重要で大きな社会問題でもあります。インターネットとの融合で、医療費をどこまで削減でき、効率化できるのかが政府にとっては大きな焦点となりそうで、それに対する政策の変化などが注目かなと。

投資家:策源创投王璞、芳晟创投马强、浅石创投胡海清、FreeS VC赵治远など。

エンターテイメント

ここでいうエンターテイメントは、映画や漫画からスポーツとかなり広いい意味で捉えられていると思います。中国の動画配信サイトが海賊版を取り締まり、正規版を配信する動きがどんどん広がっています。IPの概念がますます重要になり、海賊版が横行していた中国でもIPが定着していくでしょう。すでに、中国内のアニメーションの年間制作本数は日本を抜いて世界1位に上がっているデータもあります。

また中国インターネット企業最大手の阿里巴巴(Alibaba)がサウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙を買収するなど、インターネット企業によるコンテンツ分野への進出もどんどん増えていくに違いありません。

投資家:北极光创投黎浩宇、浅石创投胡海清、红杉资本王临青、鼎晖投资李露霖、FreeS VC赵治远など。

金融

細分化された領域で、すでにサービスはあるものの、保険など保守的なところに目を向ければ、まだまだチャンスはあると見ているそうです。特に中国の場合、金融は政府の動向に大きく左右されそうです。ただ中国人のFinTechへの浸透度合いは日本の遥か先を言っているのは間違いないです。路上の焼き芋を売っている人とのやりとりで、現金なんて使いませんからね

投資家:策源创投王璞、钟鼎创投张翰星、伙伴创投华茜、FreeS VC赵治远、源码资本吕月梅など。

インターネットとEC

衣食住を始めとする伝統産業にインターネットが食い込む余地はまだまだあり、ECはまだまだこれからと見ているようです。細分化された領域でも人口のボリュームが違うので、まだまだ残された領域と見ているのでしょう。

投資家:联想之星李东东、策源创投王璞、浅石创投胡海清、艾瑞资本潘金菊、云启创投曲凯、鼎晖投资李露霖など。

 

日本のトレンドと比べてみると・・・

 

日本の2016年の予想トレンドをみると、

・FinTech:本命。資産運用系戦争が勃発。他の分野もじわじわくる
・シェアリング:さほど期待できず。他は小粒で時間かかる
・IOT:バズワード。来ない。要注意
・AI:投資自体は活発化するが、写真共有アプリバブルの再来を彷彿
・動画:勝ち筋案件は出るがM&Aが限界
・C2C:メルカリとフリルが上場して仕上がる。
・ロボット:投資案件がすごく増えるイメージないが大穴でM&Aあり得る
・VR:市場導入期として期待感あり。大勝ち案件はまだ出ない

引用:VCの予想を集計:2016年スタートアップトレンド分野8つの考察

となっています。

被る領域はFinTechのみで、ほとんどが被っていませんね。被らない領域について、中国の状況を補足してみようと思います。

シェアリング、C2C

こちらの領域は、中国ではほぼプレーヤーが決まっています。

交通系は2015年の2月に滴滴(Didi)と快的(Kuaidi)が合併し、ほぼシェアを抑えていて、それにUberがどう立ち向かうかみたいな段階です。中国版AirbnbはすでにシリーズDでの投資を終え、ユニコーンになっています

IOT、AI、ロボット、VR

これらの領域に関する記事は、中国のメディアでは頻繁に見受けられますが、今回のアンケートではあまり上位に来ませんでした。中国では消費熱がまだあり、消費関連に依然として張っているため、まだそこまで張って投資をする段階ではないという感じでしょうか。日本でVR関連の事業をされている方とした立ち話では、「中国のVRアツいよね!」と言っていたので、もちろん盛り上がってはいるでしょうが。

他のテクノロジーの部分は筆者には分からないです。しかし中国のAIは日本のを抜き去っているみたいな記事もあり、技術的な分野は中国の方が日本より進んでそうなイメージがあります。

動画

梅木さん曰く、動画は2015年の日本で最も盛り上がった分野のようですが、中国では微妙だったように感じます。中国版Youtubeの优酷土豆(Youkutudou)が阿里巴巴(Alibaba)に完全買収されるなど、動画配信サイトは盛り上がりましたが・・・

ちなみに筆者が2015年にした会話で一番多いのは、「YYってすごいですよね!」でした。

動画製作関連のクラウド・ソーシング的なサービスは調べていないですけど、パクリ大国中国でないはずがないですし、短い動画サービスもあるにはありそう。ただ毎日いくつかの中国スタートアップ媒体の記事を眺めていますが、動画関係のキーワードはそんなに見かけなかったです。

 

まとめ

 

エンタメ、母子、ECなど消費関連がまだ熱いのかなという感じです。それらと並行して、テクノロジーの強い分野への投資も同時並行で行われそうな2016年になりそうです。またインターネット企業間での合併は加速するでしょう。インターネット業界自体の予想記事はまた書いてみようと思います。

 

投稿者:

家田昇悟(IedaShogo)

在学中に中国の日本酒コンサルティング会社で、営業・ECサイト立ち上げのリサーチを経験。帰国後、中国のスタートアップに特化した情報サイト「ChinaStartupNews」を立ち上げ、中国関連のリサーチやコンサルティングに従事する。中国×スタートアップに興味を持つ人が集うFBグループ(https://www.facebook.com/groups/chinastartup/)を運営し、現在参加者は800名を超える。アプリ開発企業にて勤務。