2015年、中国のスタートアップ・シーンを振り返る

にーはお!2015年の中国のスタートアップ・シーンを振り返ってみます。

 

2015年、中国のスタートアップ・シーンを振り返る

 

2015年の中国スタートアップは以下の2点にまとめることができるでしょう。

(1)大型合併が相次ぎ、インターネット業界がある程度落ち着いた。

(2)BATがO2Oへの参入を再度明確にし、58赶集(WubaGanji)もO2Oのエコシステムの形成を宣言するなど、大手インターネット企業の投資合戦は依然と続いた。

では、さっそく2015年を振り返ってみます。

大型合併が相次ぐ

 

大手4社が2015年は合併しました。

・配車アプリの滴滴(Didi)が快的(Kuaidi)と合併

・クラシファイドサイトの58(Wuba)が赶集(Ganji)と合併

・O2Oの巨人、美团(Meituan)と大众点评(Dianping)が合併

・百度(Baidu)主導でオンライン旅行代理店の携程(Ctrip)と去哪儿(Qunar)が合併

 

上記の動きは、時価総額で見ると、数千億円から数兆円規模の動き。日本だと楽天がヤフーを買収するぐらいの規模の話です。合併が起こった業界はほぼプレーヤーが決まりました。合併が相次いだ理由として、

・広告合戦で資金を消耗

・6月のチャイナ・ショック以降資金調達が難航

が主な理由として挙げられます。資金を消耗ってどれくらい?かと思いますが、配車系アプリはユーザーを獲得するためのキャンペーンで数ヶ月で数百億円を使っていました。「まだキャンペーンで消耗してるの?」とはまさしくこの状況。

業界に落ち着きを見せた一方で、BATによるエコシステムの形成には拍車がかかりました。

 

BATによるエコシステム形成の加速

 

百度(Baidu)が向こう3年間で4000億円を、阿里巴巴(Alibaba)が1200億円をO2Oに追加投資すると発表したのです。

日本だとauがスマホ向け新ポータル「Syn.」の構想のために色々仕掛けているようですが、その全貌がよく分かりません。一方BATの投資は非常に分かりやすいです。担当者の投資論理はおそらくこんな感じ。

百度(Baidu)

「弊社は検索エンジンに強い。でもEC系で強いサービスがないんですよね。よし越境ECに出資しましょう。」

「オンライン爆買アプリの「bolome(波羅蜜)」が、Baidu(百度)など中韓数社から3,000万米ドルを調達」

腾讯(Tencent)

「SNSは微信(Weixin)があるから強い。でも決済は強くないんだよね。シェアのほとんどが阿里巴巴(Alibaba)系列・・・どうしよう。あっ、配車アプリに出資して僕らの決済を紐つければ良いんだ!配車アプリから決済サービスのシェアを奪還できるぞ!」

→「中国のタクシー呼出アプリDidi(嘀嘀打車)がTencent(騰訊)から1億ドルを調達、WeChat(微信)でタクシー料金が支払えるようになるか?

→「WeChat(微信)がタクシー呼出アプリのDidi Dache(嘀嘀打車)と連携、乗車料金の支払が可能に

阿里巴巴(Alibaba)

「動画配信サイトの优酷土豆(Youkutudou)は今年完全買収して、コンテンツを配信する場所は整った。しかし肝心のコンテンツがうちはまだまだ少ない。コンテンツの利権を買ってしまって僕らでドラマを作ってしまえば良いんだ。」

→「アリババがドラマ制作 日本の漫画「ドラゴン桜」、通販と連動

 

実際はもっと厳密に審査などを経てるはずですが、非常に分かりやすい投資論理であると思います。筆者は中国のスタートアップに興味を持って1年ですが、半年前の時点でだいたいのトレンドは予想できる状態になっていました。どやりたいわけではなく、分かりやすい論理で投資が行われていることをお伝えしたいです。

せっかくなので、筆者の予想を検証してみます。「BATの投資先から考える、中国スタートアップ2015年度上半期と下半期の資金調達トレンド」ではこんなことを言っていました。

しかし、気になるというか面白くないのが、BAに対するTencentの反応が何もないことです。下半期にはTencentがBAに対抗する形で、「スマートライフソリューション」みたいな宣言をしてくることを予想してみます。

58赶集」や「美团」など、巨大インターネット企業によるO2O領域への投資は、下半期以降も加速していくでしょう。しかし配車サービス業界に起こったように、投資合戦は合併に落ち着く可能性が高いです。大型合併が旅行、インターネット自動車業界あたりで起こりうる可能性も無きにしも非ずです。とにもかくO2O領域での大型資金調達が2015年下半期のトレンドになるでしょう。

そして、2015年度下半期の注目は、O2O領域でずっと遅れを取っていたBaiduがどこに投資をしていくかです。Baiduの巻き返しには要チェックです!

 

それぞれみていきましょう。

・腾讯(Tencent)が「スマートライフソリューション」みたいな宣言をしてくる

→「2015年 TENCENT GLOBAL PARTNER CANFERENCEを開催

今思うと、この記事を書いた時点でこのカンファレンスの情報はネットで転がっていた可能性が高いですね・・・宣言まではしてないですねw

 

・巨大インターネット企業によるO2O領域への投資は、下半期以降も加速していく

→「Alibaba(阿里巴巴)が中国のフードデリバリ最大手Ele.me(餓了麼)に資本参加、12.5億ドルで27.7%の株式を取得へ

かなりぼんやりしたもので、予測とまでは言い難いですね・・・

 

・投資合戦は合併に落ち着く可能性が高いです。大型合併が旅行、インターネット自動車業界あたりで起こりうる可能性も無きにしも非ずです

→「Cトリップとチューナーが株式交換で合意、ビジネス提携を締結

 

・2015年度下半期の注目は、O2O領域でずっと遅れを取っていたBaiduがどこに投資をしていくかです。Baiduの巻き返しには要チェックです!

→携程(Ctrip)と去哪儿(Qunar)の合併は百度(Baidu)主導でした。百度(Baidu)が初めてO2Oで主導的役割を果たしたものです。

業界の中で、どの企業が当たるかみたいなレベルまで確かな根拠をもって予想できるよう、精進します。

 

BAT以外の新たなプレヤーヤーがエコシステム形成に参戦

 

BATがエコシステムの形成を加速させる一方で、それ以外の企業で投資側に回るプレーヤーが出てきました。

58赶集(WubaGanji)

日本では全く注目されていない58赶集(WubaGanji)。クラシファイドサイトの最大大手で、2015年の2月に合併しています。

地域情報はO2Oと相性がよく、それなりにBATに食い込んでいくのではないのでしょうか。「それなり」なのは、決済サービスとSNSを持ってないからで、やはり決済とSNSをそれぞれ抑えている阿里巴巴(Alibaba)と腾讯(Tencent)が中国では最強なのかなと思います。

→「クラシファイドサイト最大大手の「58同城」が「4+N」という新戦略を掲げ、30億ドルを目安に投資していくことを表明。

 

小米(Xiaomi)

小米(Xiaomi)がBAT以上に大きくなるのではと期待できるのは、彼らがメインで販売しているのがデバイスで海外展開がインターネット・サービスに比べて容易だからです。とは言っても国内での小米(Xiaomi)のスマホ販売数は予想より減速しており、中国のメディアでは小米(Xiaomi)危機の報道が相次いで見られました。

→「販売戦略の見直しを迫られる時価総額460億ドルの小米(Xiaomi)の最近の動きをまとめてみた

また今後は、コンテンツ制作の方へもどんどん舵を切っていくと思われ、阿里巴巴(Alibaba)と対決することになりそうですね。講談社など日本の出版社に、小米(Xiaomi)の資本が入る日も遠くはないでしょう。またハードへの投資も活発ですね。

→「小米(シャオミ)がコンテンツ100の企業と動画連盟を結ぶ。その先はアリババとのコンテンツ争奪戦か?

→「Xiaomiが目指す世界とは

 

まとめ

 

ざっと振り返ってみましたが、いかがでしたでしょう。大手ばかりでスタートアップとは言えないんじゃないかといえばその通りですが、実際はBATが全てを握っている状況で、彼らの動向を追いかけて初めて中国のスタートアップが見えるものだと思います。

エンジェルからシリーズAにおいてスタートアップが同じ分野で無数のように出現し、ビジネスモデルで細分化していき、細分化されたあたりで、BATが資本を注入していく流れが一般的。お隣の国で、どんな分野が盛り上がっているか、主要プレーヤーは誰かを把握すれば問題ないかと思います。

本文中で書き忘れましたけどw、中国で最も流行っている分野はO2Oです。O2Oは本文で言及するのを忘れるぐらいのキーワードでした。

※「中国のスタートアップの発展を考える~ペット業界を例に~」で、中国のスタートアップの発展について考察してみたので、参考にしてみてください。

本文中でも書いた通り、筆者が中国×スタートアップに興味を持ってちょうど1年。執筆、リサーチ、コンサルティングのお手伝いなど、この1年はいろんなお仕事をしました。「中国×スタートアップ」でたくさんの方にお会いすることができて良かったです。

なんのスキルもないただの大学生が、これだけ多くの方に会うことができたのは、中国×スタートアップの存在があったからです。ありがとう!中国×スタートアップ!笑

2016年もよろしくお願いいたします。来年、調べていきたいことはまた年始に書きます。

2016年の予想は「2016年、中国の投資家が予想するスタートアップ・トレンド」よりどうぞ。


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家田昇悟(IedaShogo)

家田昇悟(IedaShogo)

在学中に中国の日本酒コンサルティング会社で、営業・ECサイト立ち上げのリサーチを経験。帰国後、中国のスタートアップに特化した情報サイト「ChinaStartupNews」を立ち上げ、中国関連のリサーチやコンサルティングに従事する。中国×スタートアップに興味を持つ人が集うFBグループ(https://www.facebook.com/groups/chinastartup/)を運営し、現在参加者は800名を超える。アプリ開発企業にて勤務。