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「中国、外国企業のコンテンツ配信を禁止へ」を、実務への影響と中国政府の意図の観点で有識者のコメントをまとめてみた。(更新あり)

にーはお!「中国、3月10日より外国企業のコンテンツ配信を禁止へ」が話題になっていますね。米メディア(New York TimesForbesDigital Trendsなど)が報じているのをITProが引っ張ってきているみたいで、中国に駐在を置いている日本メディアの取材を期待しています。ITProが報じた内容ですが、

 

新たな規定では、外国企業、および外国企業と中国企業の共同事業や合弁会社は、テキスト、地図、ゲーム、アニメ、オーディオ、ビデオといった様々なコンテンツをオンライン配信することが禁じられる。電子化された書籍や、芸術・文芸作品なども対象に含まれる。 中国資本の国内企業と提携すれば、コンテンツ配信を行うことができるが、その場合は事前に政府当局の認可を得る必要があり、サーバーやストレージシステムを中国本土に置くことが求められる。

 

いろいろ意見が飛び交っていますが、一旦冷静になって、現時点で有識者がまとめているコメントをまとめてみます。今回の観点は、実務への影響と中国政府の意図の2つに分かれるでしょう。

中国語で情報を取り、脚を使って観察している、「チャイナ・ウォッチャー」のコメントを参照にします。

 

実務への影響

 

中華圏でサーバーやクラウドをメインに事業を展開されているクララオンライン代表の家本氏はこう解説。

 

 

NewsPicksの中国編集を担当され、中国(北京と香港)に約30年間滞在されているライターのふるまいよしこ氏も今回の通達は既定路線で大きな驚きはないとコメントしています。  

 

個人的には内容については大して驚きはありません。というのも、中国はこれまでずっとコンテンツは政府の検閲(中国では「審査」という)を受けること、とされてきていますから。今回はデジタル出版関連の発展でなぁなぁになっていたそれを法制化して、がしっと締め直した、そんな内容です。

基本的にGoogleが2010年に中国を「撤退」した時と同じ状況です。中国政府は「中国に進出するなら中国国内のサーバーを使え」と主張しており、中国国内のサーバーであれば、中国国内法が適用できるからです。その国内法とは、「国及び国家機関の請求により、サーバー内の情報を開示すること」。Yahooが以前、その取り決めでメール情報を開示した結果、それを証拠とされて中国人記者が有罪判決を受け、Yahooは世界中から非難を浴びました。(・・・・・・)

今回のコンテンツ配信で最初に打撃を被るのはモバイルゲーム関連だと言われています。特に中国で今人気を集めているゲームプラットホーム「steam」への影響を心配していますね。

あと、ニュースコンテンツ。海外のニュースを翻訳して流しているサイトなどが対象になると思われています。

引用:https://newspicks.com/news/1410633/でのふるまいよしこ氏のコメント

 

詳しい解説は、noteの有料記事で書かれるそうです。→https://note.mu/wanzee 

 

アニメが中国で見れなくなるのかに関しては、中国で約10年間ITを中心にライターをされている山谷氏が解説。

 

 

日本人で最も微博(ウェイボ)を使いこなしている通称「日本語お兄さん」も、中国向けインバウンドサイト等を想定して解説記事を出しています。参考にしてください。「これ解説するアル→外国企業のコンテンツ配信禁止

ただブログにも書かれていますが、ゲームやアプリ関係でどこまで影響出るのかがはっきりしないとのこと。中国でゲーム会社を展開されている方の解説が待たれます。  

 

中国政府の意図は?

 

では、なぜ中国政府は今回のような明文化に踏み切ったのでしょうか?

上の解説でもありますが、中国政府による外資コンテンツ規制の話は今になって始まったことではないことをまずはおさえてもらって、  

 

3月31日、中国政府文化部は、一部のアニメの描写に問題があるとして、動画サイト23サイトを処分リストに入れた。海外コンテンツ配信に注力する「土豆(TUDOU)」を筆頭に、「優酷(YOUKU)」「愛奇藝」「楽視」「搜狐」「酷米」「騰訊視頻」等の著名動画サイトが含まれる。このタイミングと前後して、中国向けに配信されている多数の(すべてではない)日本のアニメが見られない現象が起きている。

引用:ネット配信される日本のアニメが規制対象に ほか~2015年3月  

 

中国政府の規制は、海外の思想が流入するのを恐れているみたいな陰謀論のように簡単ではないと主張するのが、NewsPicksの中国記事の翻訳などをされている高口氏。

この記事自体は、2015年4月のものですが、情報統制だけで簡単に説明できるものではないことが分かるでしょう。

 

例えば、広電総局の通達に関しては、「ネット動画という縄張りを奪い合う省庁間の争い」という側面が強い。中国国家新聞出版広電総局は書籍、雑誌、新聞、テレビ、映画、ラジオの検閲を担当しているが、ネット動画の検閲についてはグレーゾーン。ネットを主管する中国工業情報化部としてはネット動画管轄の権力を掌握したい、テレビよりも規制を緩和してネット動画を盛り上げたいという狙いがある。 世界中でテレビからネットへの移行が進んでいるが、中国ではテレビが強力な検閲でがんじがらめになっていることもあってその傾向がさらに強かった。もはやネットを野放しにしてはおけぬ、と広電総局は昨年来巻き返しに出ている。

引用:ネット配信で復活した日本アニメ@中国、突発的政策変更というチャイナリスクで壊滅の危機  

 

まとめ

 

 

2016年2月25日10時時点での情報をまとめてみました。動きがあればまた更新します。抜け漏れあれば、教えていただけると幸いです。

投稿者:

家田昇悟(IedaShogo)

在学中に中国の日本酒コンサルティング会社で、営業・ECサイト立ち上げのリサーチを経験。帰国後、中国のスタートアップに特化した情報サイト「ChinaStartupNews」を立ち上げ、中国関連のリサーチやコンサルティングに従事する。中国×スタートアップに興味を持つ人が集うFBグループ(https://www.facebook.com/groups/chinastartup/)を運営し、現在参加者は800名を超える。アプリ開発企業にて勤務。