台湾のスタートアップ・エコシステム。政府、VC、支援組織、イベント、メディアをまとめてみた

にーはお!台湾いいですね!と昨日の勢いで、台湾のスタートアップのメインプレヤーを整理してみました。箇条書きでプレーヤーを羅列するものが無かったので、まとめておきます。

台湾を調べられる方は参考にしてみてください。

作成にあたってTheBridgeの台湾レポート記事にかなりお世話になりました。ありがとうございます。

 

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台湾スタートアップ 概観

 

中国のスタートアップ投資をログしているIT桔子によると、1995年から2016年3月12日時点で台湾で190の企業の登録がありました。投資を受けたのは合計87件。

また日本の省に相当する国家発展委員会がCrunchBaseで調べたところ、

  • 2014年:VCより投資を受けたスタートアップは14社、投資額53億2000万台湾元(約181億日本円)
  • 2015年:VCより投資を受けたスタートアップは29社、総投資額は150億3000万台湾元(約513億日本円)

であるとしています。

しかしIT桔子とCrunchBaseで10件近く社数に差があったり、台湾での1件あたりの平均投資額が10億円を超えており、日本が1億円前後であることを比べると違和感があるのですが、調達社数が少なく幅が出ているのかなと思います。

ただこちらの資料では、台湾のVCから投資を受けている社数は600件を超えており(感覚的におそらくこちらが正しい)、IT桔子やCrunchBaseとは数十倍の開きがあります。

IT桔子やCrunchBaseはアプリやインターネット関連サービスだけを取り扱っている可能性があり、台湾で多そうなハイテク産業系は記録されていないのでしょうか。そうなると、台湾の国家発展委員会がなぜ海外のCrunchBaseを頼りにしているんだと突っ込みたくなるのですが、一旦そこは置いておきます。

投資額は500億円、投資社数は500社前後という理解でおそらく大丈夫でしょう。

 

台湾政府の動き

 

台湾政府が近年スタートアップへの支援強化に取り組んでいます。羅列しておきます。

 

  • 2014年末に行政院(内閣)が「創新創業政策会報(イノベーション・スタートアップ・タスクフォース)」を立ち上げ
  • 政府が「創業抜萃(HeadStart Taiwan)投資計画」を推進
    • 米国の500 Startupsなど国内外のベンチャーキャピタル5社と協力、136億台湾元(約464億日本円)の資金を調達
    • 台湾シリコンバレー科技基金とシリコンバレーのVivoバイオテクノロジーベンチャーキャピタルが協力して33億台湾元(約112億日本円)を調達
    • 政府の「創業天使計画」による補助も合計6億5000万台湾元(約22億2000万日本円)に達する
  • 外国籍の人材導入に関する規制を徐々に緩和、「起業家(アントレプレナー)ビザ」をスタート
  • 国家としてのブランドイメージを持つスタートアップのクラスター「台湾新創競技場(Taiwan Startup Stadium, TSS)」を設立
  • 米国のシリコンバレーに「台湾創新創業中心(TIEC 台湾イノベーション・アントレプレナーシップ・センター)」を設置

引用:スタートアップが急成長、昨年の投資額150億台湾元に

 

台湾の主要VC

 

appWorks Ventures

 

台湾の著名投資家JamieLin(林之晨=リン・ジーチェン)氏が創設したインキュベータ。半年に一度のインキュベーション・プログラムを実施し、台湾のスタートアップ・シーンを牽引してきました。

台湾におけるスタートアップ投資のほとんどがappWorksが実行しており、台湾スタートアップのパパ的存在かと。

 

TMI(台湾創意工場)

 

元Google中国のCEOである李開復(LiKaiFu)氏らが台湾で立ち上げたインキュベーション。専門家と起業家とサポーターを繋ぐ、クラウドファンディング・サイトHWTrekも運営しています。

2013年ごろから積極的に投資を行い、台湾No.2のVCと言えるでしょう。

 

日本からはCAVやIVPが数件の投資、他の外資ではクアルコムやインテルなどの名前をたまに見かけます。

 

スタートアップ支援

 

Taiwan Startup Stadium(台湾新創競技場)

 

台湾政府主導による台湾のスタートアップ育成組織。2015年末に総統の馬英九が訪れています。

 

DAKUO(Digital Art Koushiung United Office)

 

高雄市長を務める Kiku Chen(陳菊)氏が高雄の産業育成にスタートアップの存在が欠かせないと考えて作ったインキュベーション・スペース。

 

Garage+

 

台湾有数の大企業20社が資金を提供するNPO「時代基金会(Epoch Foundation)」が開設した施設。シード資金の提供だけでなく、メンタリング、人材支援、コワーキング・スペースを無償提供していて、パートナーにはデロイトやMicrosoft、Amazonなど名だたる企業が名前を連ねています。

 

台湾スタートアップ・イベント

 

IDEAS Show

 

日本の経済産業省に相当する台湾の機関が2008年より主催する台湾最大のスタートアップ・イベント。

 

Meet Startup(創業小聚)

 

台湾メディアである數位時代(BusinessNext)が毎月主催している小規模なイベント。

 

ASIABEAT

 

台湾政府のIT統括部である資訊工業策進会(略称 III(トリプルアイ)= Institute for Information and Industry)が主催。B Dash Venturesも共催として関わっています。

 

台湾スタートアップ・メディア

 

TechOrange(科技報橘)

 

世界のテック情報を繁体語で伝えるのがメインで、台湾事情はそこまで多くはありません。TheBridgeのメディア・パートナー。

 

Inside 網路趨勢行銷

 

こちらも台湾事情はそこまで多くはありません。

 

Meet Startup(創業小聚)

 

台湾スタートアップのためのミートアップを開催し、台湾事情のニュースも発信しています。オフラインでのイベントにかなり力を入れているようです。海外向けの大規模なカンファランスという訳ではなさそうですが、現地のスタートアップと触れ合う機会が欲しい方はここのイベントに行くといいかもしれないですね。

 

數位時代(BusinessNext)

 

スタートアップ特化メディアというよりは、BusinessInsiderっぽい感じです。1999年創刊で、若者のオンラインビジネス雑誌という位置付けでしょうか。上で挙げたMeet Startup(創業小聚)と同じグループ会社巨思媒體集團(Business Next Media Group)が運営しているそうです。ここのメディア・グループは他にもデザインやマネージャー職の媒体も持っていて注目です。

 

まとめてみたものの、まだまだ完成には程遠いので、情報いただけたら幸いです。

台湾の起業家カフェ、ハイテク産業地区、イベント系スタートアップ、投資データベース、テック系ブロガーなどの情報を集めてまた更新します。

 

 

以下の記事から主要プレーヤーを抽出し調べました。2013〜15年の台湾スタートアップの状況がまとまっていて一読してみるのをお勧めします。

 

台湾最大のスタートアップ・イベント「IDEAS Show」、APECの認可獲得

台湾の資金調達・スタートアップエコシステムの現状

台湾のスタートアップ・シーンは今——台北と高雄の最新スタートアップ・ハブ&インキュベータを訪ねて

#IDEASShow 2015: グローバルなスタートアップが見る台湾市場の強みと課題

台湾のスタートアップ・シーンは今——台北と高雄の最新スタートアップ・ハブ&インキュベータを訪ねて

500 StartupsのパートナーRui Ma氏が分析する、海外のスタートアップが台湾に開発チームを置きたがる理由

アジアのアクセラレーターAppworks(台湾)とSparklabs(韓国)

日台中韓のスタートアップ・投資家が集う「ASIABEAT 2014」が台北で開幕

 

特に台湾のVCについては以下のレポートなどを参考にしました。

台湾における中小・ベンチャー企業向け リスクマネー供給の実態に関する調査

平成 22 年度アジア各国のベンチャー企業投資事例調査 ~アジアからの持続的なイノベーション イノベーション イノベーション創出とベンチャーファイナンス ベンチャーファイナンス ベンチャーファイナンス~

台湾のベンチャー・キャピタル

台湾におけるベンチャー支援エコシステム-創業促進策とインキュベーションセンターの活動を中心に-

台湾のインターネットと4G普及率・ながらスマホ・スマホデバイス割合について

にーはお!台湾は美女が多く、物価も安く旅には最適と聞き、台湾を調べ始めたこの頃です。

 

冗談はさておき、台湾のインターネット事情を整理してみましょう。世界経済のネタ帳を参考に、まずは人口やマクロ経済の状況から。

 

台湾の基礎情報

 

  • 人口:2343 万人
    • 53位(187ヶ国)
  • 人口密度:651.31(人/km2)
    • 7位(187ヶ国)
  • 名目GDP:529.60(10億USドル
    • 26位 (188ヶ国)
  • 一人当たりのGDP:22,599.77(USドル)
    • 37位(187ヶ国)
  • ビックマック価格:246(円)
    • 49位(55ヶ国)

 

一人当たりのGDPを見ると、もう豊かな国であることは想像がつきますが、物価はやすそうですね。だいたい日本の3分の1ぐらいと聞きます。次にインターネットのインフラがどのような状況かをみてみましょう。

 

台湾のインターネット・インフラ

 

  • ICT活用度:5.5(指数)
    • 18位(143ヶ国)
  • 携帯電話契約数:3035(万台)
    • 42位(195ヶ国)
  • インターネット普及率:83.99(%)
    • 26位(193ヶ国)

 

政策としてもインターネットへの取り組みは進んでいて、普及率も日本とほぼ同じです。総務省によると、日本は平成26年で82%です。国民が一台以上携帯電話を持っているのも日本と同じ状況です。

 

台湾の通信環境

 

資策會FINDによると、2015年末には台湾の4Gユーザーは1000万人を突破するとみられています。4G開始から19ヶ月での到達で、3Gが1000万人ユーザーを突破するには38ヶ月の時間を要したので、半分の期間で到達したことになります。

ちょっと古いグラフですが、現在4G(緑色)に移行している段階と言えます。

 

台湾4G

引用:多螢情境下的消費行為與服務創新(以下の画像も特に言及がなければ同じ出所。)

 

また上記の調査(以後特に言及がなければ出所は同じ。)によると、12歳以上の台湾人でスマホやタブレットを使用するユーザーは1,604万に達し、台湾の人口の約7割がスマホやタブレットを使用しているそうです。

メディア環境研究所によると、日本でのスマホ普及率が約70%なので、日本の電車で見かける風景とそう変わらないのでしょう。(現地には住んだことがないので、違うようであればコメントください。)

 

スマホが変える台湾人のメディア接触

 

台湾メディア接触

 

12歳以上の人で、TVを見ながらスマホを使う人は36.4%、PCを使いながらスマホを使う人は31.3%いることが上記のグラフから分かります。「ながらスマホ」は台湾でも起こっている現象ですね。

 

次はTVを見ながらスマホをいじる時に何をしてるかの調査です。

 

台湾メディア接触2

 

1200の有効回答があり、100人中何人がTVを見ながら別の行為をしていたかの調査です。

 

  • 80%:スマホまたはタブレットを使って友達とチャットをする
  • 40%:TVもしくは広告と関係のある情報を検索している
  • 10〜20%:TVもしくは広告と関連あるものを友達にシェア、アプリを使用orダウンロード、SNSに投稿、ゲームをする

 

リビングで「ながらスマホ」をしている姿が想像できます。「TV見るかチャットするかどっちかにしなさい」ってお母さんが反抗期の高校生の子供を怒る姿が想像できるのは僕だけでしょうか?

 

台湾スマホ事情

 

Vpon_2014-Q2_tw_pdf

 

広告会社Vponによると、Android:iOSは8:2。

 

台湾スマホ

引用:消費者手機使用困擾:4成民眾覺得手機容量不足

 

複数ブランドのスマホを使う人がよく出会う問題に関するアンケートです。

台湾スマホ市場でシェアが高いサムスンやhTCは動作が遅いと感じる人が100人中35人前後いる一方で、iPhoneの場合は16人と少なく、所得が上昇していくに従って自然とiPhoneへと移っていきそうです。

 

まとめ

 

「スマホをみんなが持ち、4G時代になり、動画(特にライブ動画)が2015年は盛り上がったよ!」という趣旨で、台湾の動画事情について説明している記事を読み、まずは台湾のインターネット・インフラについて調べました。

状況としては、日本とかなり似ていることが分かりました。ただ使っているアプリのジャンルには違いがあるかと思うので、次回はそこを見てみます。

台湾人の女子大学生にも話を聞けたので、FBやLINE以外のアプリ事情を伝えたらと思います。