O2O

日本の近未来!?中国でO2Oサービスがこれだけ発達しているのはなぜか

こんにちは、呉と申します。今回からChinastartupnewsに投稿いたします。

 

最近、日本でも中国のモバイルのサービスがある分野によっては日本より進んでいると言われるようになりました。

私自身、2013年12月から2年半上海で生活していたのですが、
特にO2Oや決済サービス周りで、日々の生活の中でも日本以上に中国では便利だと思うシーンがあります。

 

O2O

 

 

例えば、

①ほとんどのレストラン、スーパー、コンビニで支付宝(Alipay)や微信支付(WeChat Payment)を通してスマホで支払可能。財布を持ち歩く必要なし。自動で会員割引やポイントも貯まる。・・・微信、支付宝

②個人間での送金はSNS上のやりとりで完結。貸し借りや食事の時の割り勘が簡単。・・・微信支付(WeChat Payment)

③夜遅くまで仕事をする時は、フードデリバリーを頼めば30分で到着。3万店舗以上が対応。・・・饿了么(Eleme)、美团(Meituan)

④タクシーも個人の車もタクシーアプリで呼べ、遠くに行くときは相乗りやタクシー運転手の帰宅に合わせることで費用も抑えることができる。・・・滴滴(Didi)、快的(Kuaidi)

⑤その他各種O2Oサービスにより、何でも人がすぐに来てサポートしてくれる。例えば、携帯の画面が割れたら数時間以内に修理の人が家まで来て直してくれる(Apple Storeや小米ストアより安くて早い!)、家政婦さんはオンラインで予約したら来てくれる、など

 

よくなぜ中国のO2Oサービスがこれほどまで急激に進んだのか、聞かれることがあります。
様々な要因があると思いますが、5つのことがいえるでしょう。

 

 

1.明確な規制がない状況で、まずサービス提供

 

上記の①②④⑤は日本であれば、どれも規制があったり、免許が必要なサービスです。

規制自体の成熟の差もありますが、規制に対する考え方も違います。

日本では免許の制度がある程度整っていて、かつ規制の管轄が厳しいので、企業は規制が明確になってから、それに従うようにサービスを作ります。

一方、中国では、明確な規制がない場合、インターネット企業は、規制が出来上がるのを待つよりも前に、まずサービスを作って、ユーザーを集めてしまいます。

ユーザーが集まった後に、その利用者数を利用して政府に事実上容認にさせるアプローチが多いように思います。

例えばタクシーアプリの場合、仲介サービス自体は合法ですが、営業資格がない車は本来はタクシー業務をしてはいけません。

ただ、ここまで社会インフラになってしまうと、政府も禁止できずに事実上容認、という状況になっています。

 

 

2.所得格差が広く、人件費が低い

 

③⑤の人手が必要なサービスについては、
中国のように所得格差が広く、単純労働の人件費が安いがゆえに可能になっているサービスです。

例えば饿了么(Eleme)のデリバリーサービス利用時に、デリバリー費用はたったの6元(約100円)ほどです。

一食の食費が30元だとして、デリバリー費用6元だと許容範囲内ですが、20元になるとちょっと考えてしまいます。

O2Oサービスでの人手を必要なサービスは、人件費が大きなコストを占めるので、これは重要な要因だと思います。

 

 

3.ニーズの変化が早く、既存産業が追いついていない

 

所得向上と情報化社会で、ユーザーのニーズは急激に変化しているが、既存産業が十分対応できていないことが多くあります。

例えば、日本みたいにいつでも24時間空いていて、品ぞろえが豊富で、ATMなど各種サービスが受けられるコンビニがあれば、
デリバリーサービスへのニーズはそこまで必要ないかもしれません。

しかし、中国の都市部のコンビニは増加していますが、人口あたりコンビニ数はまだ日本の1/7。

加えて、日本のセブン、ローソン、ファミマは、まだ3社合わせてもシェアは10%未満で、ローカルコンビニのサラダやお弁当等のPB商品のレベルはお世辞にも高いとは言えません。

 

 

4.ITスタートアップへ人材、資金が集約

 

上記の背景に加え、ITスタートアップに人材とお金が集まっています。

インターネット企業への投資は、日本では年間約1000億円に対して、中国では毎年約1000億元に上ると言われています。(http://money.163.com/15/0105/15/AF7566AV00253G87.html)

かつ、BAT(百度、アリババ、テンセント)が、資本力とトラフィックを武器に、次々と有望なインターネット企業に投資をするために、スタートアップのExitも見えやすいです。
加えて、中国では日本よりも資本主義的な考え方が強く、多くの人がは会社オーナー(老板)に憧れを持っており、優秀な人が次々起業しています。

実際、2015年中国では1日で1万社会社が設立されており、インターネット関連企業が最も多いです。ちなみに、日本の企業数は400万社なので、1年で日本の総企業数が設立されていることになります(http://www.ithome.com/html/it/153870.htm)

 

ITスタートアップの最も貴重なリソースはエンジニアですが、中国では、ITスタートアップのエンジニアの月収は新卒2,3年で1.5万元(25万円)を超えることも珍しくありません。
数年経験があるエンジニアになると、月収4万元(月70万円)を超えることもしばしばあり、日本のIT企業よりも高いことに日本から来た人によく驚かれます。

優秀なエンジニアの多くは、スタートアップ企業を経由して、起業もしくは、BATに入ることを目標にしており、ITスタートアップに人材が集まってきます。エンジニアが集まれば、サービスの開発や改善のPDCAも早くなり、サービスの品質が上がるのは必然ですね。

 

 

5.ユーザーのあらやるデータの活用

 

今後更に活用される事例が出てくると思いますが、中国のインターネット企業の保管する個人データ量は膨大です。

理由としては、中国には明確な個人情報保護法がないために、サービス側は電話番号をキーに、購買情報や位置情報など様々なデータを取得しています。
また、それらのデータがBATを筆頭にしたエコシステムに集約されています。

一例をあげてみましょう。2015年に上海でアリババがオフラインの生鮮スーパー「盒马鲜生」の実験店を開店しました。

この店舗、「支払はアリババの支付宝のみ、オンラインでの注文も可能で30分以内にお届け」というのも特徴ですが、
さらにおもしろいのは、開店の戦略にデータが多用されていることです。

アリババは、自社事業(ECの天猫、オンライン決済)と投資している事業により、
どの地域の人が、ECや実店舗で何の商品をどれくらい購買しているか、また、その人がどういう生活スタイルをしているか把握できます。

顧客層と顧客のニーズがわかるので、これらの情報をもとにスーパーの立地、品ぞろえを完璧に下調べし、
それに合わせてオフライン店舗を開店しています。

実際に訪問しましたが、平日にも関わらず、かなりのお客さんで賑わっていました。
今後、中国発信で、ビッグデータを活用した新サービスが、出てくると思われます。

 

 

まとめ

 

このように、中国ではO2Oサービスが流行りやすい土台があり、それに対してサービスを提供する企業が揃っています。
今なお、中国では1日に1万社もの企業が誕生しています。
中国の動向をウォッチすることは、日本のITスタートアップの未来を予測する意味でも役に立つのではないでしょうか。

 

画像引用:http://startupbeat.hkej.com/?p=26612

投稿者:

phong wu

新卒でIBMビジネスコンサルティングサービス(現日本IBM)へ入社。 テクノロジーを活用した事業戦略を立案するチームに所属。 2013年に上海にわたり、テクノロジースタートアップである游仁堂に参画。 翌年からはCOOとしてリテール向けCRMビジネスの立ち上げやデジタルマーケティングを実施。 2016年5月より日本で事業。